なるべく最初に読んで下さい。 >> このレビューの判断基準
12月15日にXP搭載の新モデルが出ましたが、今回のレビューでは8月発表の秋モデル「FMVLUB50N5」を使用しています。OSはVista。
VAIOなど陰に隠れがちですが、欧州ではモバイルに強いメーカーとして認識されている富士通。
5.6型液晶の「LOOX U」も突然変異などではなく、富士通の得意分野のPCといえます。
→ 『海外での富士通製PCは、モバイル色が非常に強いのです』
こういうモデルはマニアでないと受けないかも...と思ってましたが、聞いた話では結構女性に売れているとか。 女性のバッグは小さいですし、表面積の小さい小型PCに需要があるんですね。
価格は変動する物としてあまり考えず、ハードウェアの素の状態を採点します。
評価 |
○ 良い点 × 気になった点 □ プラスでもマイナスでもないコメント |
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筐体 |
○ 分厚さはそこそこに収まり、ポインティングデバイスの位置が絶妙。 |
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キーボード |
○ 親指打ちするには十分のキーピッチ。先代より変態度は改善。 |
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排熱 |
○ 表面が不快に熱くなることはない。 |
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液晶 |
○ 発色も良好で高解像度派には満足度の高いパネル。視野角も十分。 |
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騒音 |
○ アイドル時の静粛性は非常に高い。負荷に応じた騒音を実現。
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ソフトウェア |
○ Acronisのような簡単バックアップツールは便利かも | |
モバイル | ○ 底面積が小さいモデルにありがちな分厚さもさほどではない。 | |
総合 |
4.0 /5 |
2代目だけあってインターフェイス、サイズ共に大きな不満を感じさせない完成度。 あえて難癖つけるなら性能。このクラスに性能で文句言うのはある意味間違ってますが、 最近は動画配信も高画質化しており、その辺をこなしてくれるとさらに嬉しいのも事実。 SSD化はパフォーマンス、対衝撃、バッテリー駆動時間の延長など利点が多いので、ぜひ導入して欲しいところ。 |
後述しますが、YouTubeなどのFlashによる動画再生ではCPUパワー不足を感じる場面が多い。これは画質を妥協するか、ダウンロードすることである程度は対処可能。
今のAtomプラットフォームに使われているIntel SCHは製造プロセスが古く、 発熱も多いのがネック。2009年末に出る次世代Atomプラットフォームでは、このSCHがグッと小さくなり低消費電力化(低発熱) される予定です。
GPU | Intel GMA 500 |
CPU | Atom Z530 1.6Ghz |
Chipset | Intel SCH |
メモリ | 1GB PC2-4200 (増設不可) |
HDD | TOSHIBA MK6028GAL |
Network | Atheros AR928X, Realtek RTL8139/810x |
理想をいえば液晶部分はもっと狭額で、筐体は薄く、スーツのポケットに入るサイズが希望ですが、2軸ヒンジ採用で 最厚部 33mmは上々。ちなみにVAIO type Uは38.2mm(参照)。
面積的にはCD-ROMケースとほぼ同等。タブレットのペンはここに収納↑。
ちなみに指紋認証装置下の「ALT」キーは長押しで「ALT+CTRL+DEL」に相当し、タスクマネージャーを呼び出します。
配線が確実に出る電源コネクタやオーディオ入出力は邪魔になりにくい側面後ろに配置されており、 ここら辺の配慮は怠りないですね。
前面
右側面
左側面
背面
有線LANは変換コネクタを必要としますが、前から出るのはちょっと勘弁願いたいです。
有線LANがある環境では外付けキーボードを使い、裏返しての使用を想定しているのなら合点がいきますが。
USBが1ポートしかないのが心許ないですが、ポートリプリケーターが使うと 4つ追加されます。
→ 参照
このサイズの筐体に打ちやすさを求めることは矛盾してますが、先代から大幅にボタン数が拡張され変態度はかなり改善。 それでもブラインドタッチができるかというと微妙ですが、無理矢理できると言い張れないことはないレベルです。
ペン入力での文字認識も可能ですが、あまり賢くないのでキーボードを使う事が多いと思います。 メールの返答や検索キーワード入力などやはりあると重宝するキーボードです。
外付けキーボードを使う際には天板を反転させると使いやすい。Bluetooth搭載。
Apple Wireless Keyboardも無事動作。
このセットで持ち歩くのもありですが、Apple Wireless Keyboardは剛性の高い分重く、電池を入れて354gもあります。
⇒ Apple Wireless Keyboard (JIS) MB167J/A
マウス代わりのインターフェイスはスティックポイントとペンタブレットの2系統を使えます。
スティックポイントはトラックポイントと同様、スティック自身がクリック機能を持ちます。 また左右クリックボタンも左側に用意され、持ち方に応じて選べるのが便利。 片手しか空かない時でもスティックだけでWebサーフィンぐらいは可能です。
モノラル仕様。
発色は良好。輝度は低め。
上下左右でばらつきが結構あります。起動時には右からの光漏れが見えます。
46 | 52 | 60 |
43 | 48 | 52 |
40 | 43 | 49 |
AVG 48.1 |
このサイズのノートは小口径のファンを高回転させるのでうるさいのが相場ですが、LOOX Uは意外にも静か。Atomプラットフォームの省電力性を活かして、アイドル時の静粛性を実現しています。FF11ベンチを回しても最初は静かなまま。しばらくしてようやくファンが回り始めます。
→ 平均消費電力を数百mWに抑えるSilverthorne
HDD音が「コリコリコリ」と耳に付くのは静かな証拠。
排気口は側面にはなく、底面にあります。
負荷を与えても不快な熱さはなし。
排気口
デスクトップに置かれている「必ず実行してください」アイコンをクリックする前は少ないですが、クリックすると追加のセットアップが開始され、色々と ソフトが入ってきます。
セキュリティソフトはノートンとウイルスバスターから選べます。これらセキュリティソフトはメーカー側にインセンティブがあるのか強制インストールさせるモデルもありますが、本機はインストールしないという選択肢も用意されており良心的。
指紋ユーティリティはOmniPass。
マンガ形式で使い方をレクチャーするバックアップソフト。 光学ドライブが無いですが、USB HDDなど外付けドライブにバックアップが取れます。
FF11ベンチ3回まわして368、367、369。
回線はeo光。速度平均 40〜50Mbps。回線がネックになることはないです。
ニコニコ動画はプレミアム会員。
<視聴動画>
・ニコニコ動画:【GoW2】翻訳字幕付 Gears Of War 2 Part38 【Xbox360】‐ニコニコ動画(ββ)
・Youtube:YouTube - Fighter Pilot Operation Red Flag HD/HQ
◆ ニコニコ動画
動画にもよりますが、最近の画質をある程度重視した動画は重い。ファイルをMitterなどでダウンロードし、PowerDVD8などで見ると驚くほどスムーズに動いてくれます。
新プレイヤーでもあまり変わらず。
◆ YouTube
非HDモードなら多少コマ落ちするものの、そこそこ満足に見ることができます。ただHDモードに切り替えるとかなり厳しい。ダウンロードしても重かったです。
■ FlashPlayerでのGPU動画再生支援について ■
Flashを使った動画再生について詳細にわかっているわけではないですが、ザッと読んだ感じでは以下のようになっているのではないかと思います。
まずIntel SCHは動画再生支援機能を持っていますが、プレイヤー側が対応している必要があります。そしてフラッシュプレイヤーはそれに対応していないと思われます。
AdobeサイトにはFlashPlayer10の特徴としてGPU対応を書いている部分があります。
→ Adobe - Flash Player 10: Features
Hardware acceleration [Enhanced]
Use the hardware processing power of the graphics card to paint SWF files into the browser and accelerate compositing calculations of bitmaps, filters, blend modes, and video overlays faster than would be performed in software.
ただ、描画モードが新しく加わった‘gpu’モードであっても
→ kaourantin.net: What does GPU acceleration mean?
the content of windows (in flash language that means movie clips) is still rendered using software,
となっていることから、動画ファイルのデコードについてはソフトウェア処理、つまりCPUで処理されているものと思われます。そして動画部分とそれ以外の枠の部分を含めて最終的にデスクトップに映し出す際に、フルスクリーンないし、wmodeパラメーターの指定いかんによってはGPUのアクセラレーションを受けることができる、ということだろうと思います。
参考)GPUでフラッシュの高速化の例
→ FlashゲームPG講座 For AS3.0【Stage クラスについて】
参考)
→ akihiro kamijo: Flash Player 10 の GPU サポート機能について
■ PowerDVD8でのGPU動画再生支援について ■
※追記と訂正しました
当初、PowerDVD8はハードウェアでの再生支援に対応していないかもと書いてましたが、対応しているようです。すみません。 以下、PowerDVD8の設定画面です。
汎用的なAPIが用意されているみたいです。
→ DirectX VA: ビデオ コーデック処理の高速化
ACアダプタコネクタは右後ろ。L型です。
※注意 VistaはSP1をあてないと駆動時間が短くなる可能性があります。
標準バッテリーだと動画視聴し続けると3時間弱です。(動画の形式にもよりますが)
Webサーフィン等々なら3時間以上もつと思います。
消費電力は動画再生時で約7〜9W。
上は東芝サイトから引っ張ってきた内蔵HDD「MK6028GAL」の消費電力。動画視聴時で約7〜9WなのでHDDの消費電力も馬鹿になりません。 パフォーマンスや対衝撃性だけでなく、消費電力の面からもSSD化が望まれます。
トップクラスではないものの、LOOX Rのように遅いこともなく十分速い。
Fnキー、Ctrlキーの入れ替えの項目は見あたらず。
GPU-Zを起動させるとフリーズしてしまいます。PowerVR系の異端GPUだからでしょうか。
CPU-ZではAtom N270と表示されていますが、仕様表によれば載っているのはZ530です。
Z500系の方がPDAに近いUMPCタイプに適した小型パッケージとなり、
チップセットもGMA500(PowerVRコア)内蔵のIntel SCHと組み合わせることになります。
Atomは高クロックで回して性能を稼ぐ Pentium 4に似たCPUのため、Core 2 Solo 1.6Ghzより性能は劣ります。
CPU比較資料
Diamondville (Atom) | 45nm | 47M | 24.2m² | 驚異的なダイサイズの小ささ 45nm恐るべし |
Merom-4M (C2D) | 65nm | 291M | 143m² | SRAMがダイサイズを大きくしている |
Penryn (C2D) | 45nm | 410M | 107m² | Penrynは45nmへのシュリンク効果でかなり小さい |
Esther (C7) | 90nm | 26M | 32mm² | HP mini 2133が搭載 |
Isaiah (Nano) | 65nm | 95M | 63mm² | C7より性能は格段に上。でも熱そう |
バッテリーを外して購入時の状態で測定。MAX 9〜10W程度。アイドル時はさらに低い。 ここまで消費電力が小さくなるとHDDのモーターでさえ大食いになってきます。HDDが1〜2W喰うことを考えるとSSD化の恩恵は大きい。
HP mini 2133が輝度最小、アイドル時でさえ19Wでしたから、その消費電力の低さがわかります。
ボトムはCPU、Mem、GPUがその差0.1でほぼ横一線。
インデックス値的にはバランスが取れているといえば取れてますね。
参考にHP mini 2133
評価のところで書いた動画配信への力不足ですが、スムーズに再生させる近道は2009年に出てくるデュアルコアAtomの 採用だろうと思います。ただデュアルコアAtomのターゲットがデスクトップや10型のNetBookなのでLOOX U には採用されないかもしれませんが。
あとはGPUの再生支援を活かす方法ですが、SCHのGPUはIntel GMAシリーズのなかでは異端の「PowerVR」コアのライセンスを受けたものです。再生支援機能は「POWERVR VXD」と名付けられていますが、対応ソフトがよくわからない。
→ Imagination、Centrino Atom向けにPOWERVRを提供
もし対応するソフトが出たとしても、YouTubeやニコ動で使われているフラッシュプレイヤーはGPUの再生支援には対応していないので、ダウンロードするなり一手間はかかります。次のLincroftでもさほどCPU性能は上がらなさそうなので動画再生に関しては苦手で有り続けるかもしれませんね。