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今後の SSD進化の行方 update

◇ RAMディスク健在(デスクトップ)

出る出ると言われ続けながら出てこなかった、RAM Diskの新顔が登場します。
 → アキバ総研-DDR2(最大8枚)対応のSATA接続式RAMディスクユニットが展示開始

ランダムの速いSSDの登場で影が薄れた気もしますが、それでも性能的にはSSDを軽く凌駕しています。まだまだ使い道によっては魅力的な製品だと思います。今後もメモリ価格は低水準を維持するでしょうから自作ヘビーユーザーの間では人気が出そうです。

さすがにこれのノート版(2.5インチサイズ)は難しい。eSATA起動が可能なモデルならeSATA外付けも考えられますが、現状eSATAから起動できるモデルはあまり無いので現実味がないです。


◇ SO-DIMM版を妄想してみる

2.5型RamDisk構想 SODIMMの横幅は収まる

見た感じ2.5型外装にSO-DIMM斜め差しで縦3枚はOK。ただ基板が入らなさそうなので2枚が限界? 2枚だと容量が話にならないので、実現するには基板両面にDRAMチップを直付けするぐらいでないと無理そうです。そうなるとコスト的に現実味が無くなりそうですが。



◇ SSDの多様性

相次ぐSSDのリリースですが、メーカーは多いものの多様性という点ではあまり多くはないです。
SuperTalentやOCZ、PATRIOT、バッファローなどはすべてJMicron社のコントローラーチップ「JMF602」を使用したSSDで、メーカーの創意工夫が入る余地はあまりありません。

一方、NANDフラッシュメーカーの2大巨頭である東芝とSamsung、高速SSDのパイオニアともいえる韓国mtron、巨人Intelなどはそれぞれ独自のノウハウを詰め込んだコントローラーチップを使っているようです。他にもTDKなども独自のコントローラーチップを外販していますが、こちらは産業用をターゲットにしているのでお目にかかることは無さそうです。

 → フラッシュメモリコントローラ| 製品情報 | TDK
 → 蹴茶: Tech-On! MTRON社に今後の戦略を聞く 8月の記事



◇ JMicron 今後のロードマップ

最も採用例の多い「JMF602(4ch)」ですが、小さなファイルを大量にやりとりすると起こる「プチフリ」現象がユーザー諸氏から報告されています。フリーズするのは数秒ではなく、数分単位となるかなりやっかいな症状です。ただ誰しもが経験するというわけではなく、問題無く使えている人もいます。

今後のファームウェアのバージョンアップでプチフリ改善を願いたいところですが、新規のハードウェアでは2009年に「JMF611」と「JMF612」が計画されています。注目は高速な8ch並列書き込み(Intel SSDは10ch)が可能となるJMF612で、既にIntel SSDでは搭載されているDRAMをJMicro搭載SSDでも使うことができるようになります。

※ Intel SSDでは外部DRAMは読み書きのキャッシュ用バッファーではなく、書き込み分散(ウェアレベリング)用として使っているらしい。読み書きにはコントローラー内部キャッシュを使用。
 → Anandtech: Despite the presence of the external DRAM, both the Intel controller and the JMicron rely on internal buffers to cache accesses to the SSD.

「JMF611」 DRAMキャッシュ、4チャンネル、ONFI 2.0
「JMF612」 DRAMキャッシュ、8チャンネル、ONFI 2.0
「JMF630」 USB 3.0 Pen USBスティック型メモリ向け?
「JMF650」 USB 3.0 SSD

 → ONFIとは | マイコミ
 → NANDインタフェース仕様のONFI 1.0が策定完了
 → ONFi 2.0の基本的な考え方とロードマップ


◇ バスの帯域が不足する

INDILINX社のロードマップによれば来年は200MB/sに達する第2世代、2010年は500MB/sに達する第3世代が出てくると予想されています。

こうなってくると現状のSATA Rev.2(3.0Gbps)程度では足りなくなってしまいます。6GbpsをサポートするSATA Rev.3の登場が必須になってきます。ただ同時にUSB3.0という高速ポートの追加も予想され、バス帯域はいくらあっても足りない状況になりそうです。詳細は大原氏のレポートを参考に。
 → 【レポート】IDF Fall 2008 - USB Update - 現状は? 移行時期は? USB 3.0を総まとめ (8) IntelチップセットへのUSB 3.0搭載は何時なのか


◇ ハイブリッドSSD?

今後のSSDコントローラーは、GPUの進化と同じように並列処理のさらなる強化(シーケンシャル性能の向上)、外部DRAMキャッシュの増量、信頼性を担保するECC処理の高速化などが図られることになると思われます。

来年以降コントローラーチップ間の競争激化は必至で、低価格化するものもあれば、コストの安くなったDRAMの搭載量を増やし、RAM Disk(RAM Diskも‘SSD’ですがここでは区別します)とSSDのハイブリッドドライブに近い物を目指すコントローラーも出てくるかもしれません。
 → 後藤氏: メモリの聖杯をもとめて


◇ 信頼性

SSDの信頼性については、MLCで起こりやすいセルレベルのデータロスは分散書込やエラー訂正ECCによってカバーされています。結果、分散の余地がすくない低容量ドライブでは寿命が短くなるのもHDDにないSSDの特徴です。

SLCドライブではHDDよりも信頼性が高いとされていますが、実際の所はSLCドライブでも先のプチフリのような突然のフリーズ、スリープからの復帰失敗、起動中のフリーズなど、データ損傷はないものの少々怪しい行動を起こすことがあります。(個人的にはデータロスしたことは今のところ一度もありません)

確固たるコントローラーチップであれば、信頼性はミラーリングされたRAID-1よりも上回るというIBMの調査結果もあり、今後コントローラーの成熟と共に信頼性も確固たるものになっていくと思われます。
 → 単体でもRAID-1より高信頼、IBMがブレード用SSD発表


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 → 元麻布氏: コントローラチップ等の改善も緒についたばかりだ

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 → 蹴茶: PS3がSSD搭載、筐体一新は2010年ごろ? 2008.2.18

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