2006年秋 地味さの中に光る非光沢ノート dynabook AW6

最終更新 2006-11-1 22:30 リカバリー作業について追記

ao.gif 一度期待はずれだったdynabook AW5

今回レビューするのは東芝「dynabook AW 6
その先代「AW 5」もGeForce Go 7600搭載ノートとして、大きな反響を呼んだシリーズです。
(うちだけかもしれませんが)

しかしAW5は、ヒトバシラー諸氏による突撃調査の結果、搭載されている7600のメモリバス幅が64bitと狭いセカンドモデルであることが判明。当然ながら肝心の3D性能も低く、下位のGeForce Go 7400に近い性能しか出なかったため、どうも多数の方がキャンセルしたようです。なぜ、東芝がこのセカンド品を使ったのか。一度理由を聞いてみたいのですが、叶わないかな。

主にGPUの弱点を軒並みつぶしてきた「dynabook AW6」このことが影響したのかどうかは不明ですが、マイナーチェンジにより登場した「AW6」はメモリバスを‘128bit’と通常スペックのGeForce Go 7600並みに改善。さらにローカルのビデオメモリも256MBに倍増されています。

また、スペック表にGPUのメモリバス幅が明記されてあるのはかなり珍しい。やはりGPUに関する問い合わせが多かったのでしょうか。さて、AW6でリベンジなるか?

 → ユーザーレポート
 ⇒ dynabook AW6 

 

ao.gif 基本スペック

とりあえずはスペックから。エンコード作業などを考えると、CPUはCore 2 Duo T7000番台が欲しいところですが、値段も1ランク上になってしまうので、一般向けとして考えるとT5500が妥当なところ。

GPU
CPU
チップセット
メモリー
HDD
液晶
光学ドライブ
質量

GeForce Go 7600(256MB) メモリバス幅 128bit
Core 2 Duo T5500 (1.66Ghz)
Intel 945PM
DDR2 2GB
東芝 MK1234GSX 120GB (5400rpm)
15.4型 WXGA 非光沢
パイオニア DVR-K16A DVD+-R 2層対応
2.8kg

 → 【Everest Ultimate 2006 TRIAL 分析結果】

GPUのメモリに256MBもいるのか?という疑問がありますが、蹴茶がPSUで調べたところノーマルの条件だと128MB以下で事足りてしまいました。ただ、3D画像のギザギザ感を減らすアンチエイリアシング処理(参照:グラフィックmini辞典)をかませると、128MBを超えてきます。

最大162MBのビデオメモリを消費 PSU第2章「草原の浄化」において (VRAMチェッカーにて)

また、ゲームクラン「LTCT」さんの掲示板の書き込みによるとBattlefield2だと大量に消費するようです。タイトルにより様々なようですね。希望のゲームがあれば、一度調べてみると良いと思います。

 

ao.gif 実際の体感速度

蹴茶の持っているCore Duo 2.0Ghz 搭載の Inspiron 9400との比較になりますが、ブラウザや、MSオフィス、Adobe Readerなど、普段使うアプリケーションの体感速度はほとんど差は感じません。ただ、両機を横に並べ同時にアプリを起動させると、dynabook AW6が1、2秒程度立ち上がりが早い

Core 2 Duoの威力というよりはハードディスク由来の差でしょうね。スペック上はどちらのHDDも、5400rpm、シークタイムが12msと変わりませんが、9400は既に1年近く使っており記憶面の断片化が進み、アクセスに機敏さがありません。ちなみに使われているHDD、光学ドライブは以下の通り。

HD Tuneでベンチもとったので載せておきます。

  HDD

光学ドライブ

HD Tune 2.51 スコア
Access Time

Transfer Rate

dynabook AW6
使用歴数日

東芝 MK1234GSX
(5400rpm)

パイオニア DVR-K16A

17.0ms 29.3MB/sec
Inspiron 9400
使用歴9ヶ月

富士通 MHV2100BG
(5400rpm)

NEC ND-6650A

21.7ms 27.4MB/sec

 

ao.gif 液晶

特徴その1 非光沢液晶

最近のノートは光沢液晶が当たり前。そんな中dynabook AW6は珍しく非光沢液晶を持ちます。他に非光沢を持つモデルというと、「ThinkPad Xシリーズ」や「Let's note」などビジネスモデルばかりで、いまや‘非光沢’というとまるで画質を気にしないモデルの代名詞のような状況です。AW6はどうなのでしょうか。
(光沢、非光沢の違いはここで説明すると長くなるので、こちらを参照してください)

蹴茶が普段、光沢パネルに慣れているというのもありますが、

ファーストインプレッションは 「うわ、地味やなぁ...」

輝度が低く、表面で光が拡散するためどうしても色の抜けが悪く見えます。
しかし、蛍光管が温まり、輝度がきっちり出るようになるとかなりしっかりしてきます。いい感じです。あえて目の疲れなどを考えて非光沢を選ぶユーザーさんにとっては十分合格のレベルだと思います。視野角は上下は悪いものの、左右は悪くないですね。四隅のアイコンも色が変わることないです。
 (ノートパソコン設置はこちらのテンプレ案を使用しています。)

利点のひとつ、目の疲れにくさは蹴茶があまりディスプレイで目が疲れない人なのでノーコメント(^^;

正面

 

正面

初対面の印象は悪かったが、蛍光管がこなれてくるといい色味を出す。

 

 

 

横からの視野角

 

横から

全体的に暗くなります。湖に映る山並みの稜線などはきっちり見えていますね。色の識別問題なし。デスクトップで四隅のアイコンの色が変わるようなことはないです。

 

 

 

上からの視野角はどうか

 

上から

これは左右よりあきらかに視野角は狭いです。
TN液晶かな?

 

ao.gif キーボード

キー配置はかなりいい線いっていると思います。蹴茶の好みです。しかしタッチが固いのが惜しいかなぁ。軽く打ちたい派の蹴茶にはキー配置はよくても、タッチがマイナスです。タッチパッドのボタンも、手が乗った時の誤作動防止のためか相当に固く、日常的には使いたくない固さです。

dynabook AW6 キーボード

 

配置の特徴をあげてみると

  • Backspace、Enter、Shift、矢印キーが全部大きい
  • ファンクションキーとの間は十分なスペースあり
  • ESCが左上
  • 左隅はFnキー(BIOSでも変更不可)
  • Capsキー(キートップに小さなライト付)

 

ao.gif サウンド

特徴その2 harman/kardonスピーカー

harman/kardonブランドのスピーカーが付いています。

dynabook AW6 スピーカー

 

ノートにありがちなシャカシャカ音にはなりにくく、確かにノートの平均以上の音はでます。でもやっぱり低音は弱い。

物理的な限界だと思いますが、普段使っている1600円程度で買ったJBLプラチナスピーカーにも負けるのは仕方ないところか。比較するとこんな感じです。

ノートの平均 < AW6スピーカー < 外付スピーカー

 

特徴その3 ハードウェア音量スイッチ

ハードウェア音量スイッチ

 

harman/kardon以上に蹴茶が評価しているのは、この

 音量のハードウェアスイッチ。

昔はたいていどのノートパソコンにも付いていたものですが、最近はコスト削減の波なのか採用が減っています。

やっぱりめちゃめちゃ便利です。

普段ももちろん便利ですが、特に重宝するのがWindows起動音。あのデスクトップが出てきた時の音はWindows起動後に立ち上がる音量ユーティリティでは調節が間に合わない。深夜、奥さんも子供も寝ている、でもパソコン起動したい...普通ソフトウェアツールだとFnキーと音量調節のキーを連打ですが、ハードウェアスイッチがあればクルクルっと回すだけ。立ち上がるのを待つ必要もないです。

 

ao.gif 筐体

筐体はプラスチック製。地味ノートの名に恥じない、特に凝ったところもないよく見かけるポピュラーな塗装です。剛性感も筐体を持ち上げるとミシミシというので、特に強化された感じもないです。重さからして無理ですが、据え置いて使った方が良いのは間違いないですね。
液晶パネルを片手で開いても、本体が持ち上がらない重量バランスはGood!です。

プラスチック感が漏れ出る筐体

 

シルバー色の金属っぽさを持つ塗装。

ヘビーに使うと手の擦れるところが薄くなる、いわゆる「剥げそうな塗装」でしょうか。 

 

ao.gif 各種コネクタの位置

USBポートは右手前と左後ろ、対角線上に2つずつ配置されています。少しだけ挿すというのであれば、右を使いますが、USBヘッドフォンやゲームパッドなどを繋ぐ時は、蹴茶は邪魔にならない左側を使います。左の側面にあればなお良かったのですが、まぁこの程度は大きな問題ではないでしょう。

特徴その4 蓋付きのPCカードスロット

AW6はExpressCard 54スロットとPC type II カードスロットをそれぞれ1つずつ装備していますが、

 蓋付き

です。無くしやすいダミーカードでも、ましてゴム蓋でもないのはプラス評価でしょう。
ただ、2種類両方に覆い被さる共通の蓋です。それぞれ独立していればなお良かったのですが。

うしろ
パラレルポート跡らしきものが見えますね USB×2
 

左側面
注目はPCカードスロット
ダミーカードが多い中、蓋付きは好印象です
上がPCI ExpressCardで、下がPC type II

 

右側面
右側にはUSBポート×2の他、無線LANの
ハードウェアスイッチがある
 

 

ao.gif 発熱と冷却ファン

HDDはシーク音も含めて静かなのですが、冷却ファン音は結構音量があります。蹴茶分類ではうるさい方に入ります。統合チップセットと違い、GPUもかなりの発熱を出すため、結構回しているようです。排気口から見えるヒートシンクも大きい。

ただ、Inspiron 9400と比較すると数値上も、体感上も AW6の方がやや静かかな。

冷却ファン 第1段階

 

冷却ファンの第1段階
55〜56dB

冷却ファン 第2段階

 

冷却ファンの第2段階
60〜62dB

冷却ファン 第三段階

 

冷却ファンの第3段階
65〜66dB

HDDの静かさの原因はもちろんドライブ固有の性質もあると思いますが、HDDを覆うこのゴムシートも音の伝わりをカットし、共振を防ぐ効果がありそうです。

排気口 巨大な銅製?ヒートシンク
排気口から銅製らしきヒートシンクが見える
裏側に見える穴はたぶん吸気口

 

ハードディスクは対衝撃パッドに包まれているため、静音効果もあるようだ
HDDはゴム製の緩衝材らしきもので包まれている。
おそらくHDD音の静粛化にも効果が出てる?

 

ao.gif 光学ドライブ静音ユーティリティ

CD/DVD静音ユーティリティ

自作PCではフリーウェア公開されているソフトが使われることの多い光学ドライブの回転数制御ツール。
AW6では標準ツールとして最初から常駐しています。

3つで計165MBのファイルをCD-ROMからコピー。その時間と騒音を計測してみました。

 モード ドライブ間近の騒音値

かかった時間

静音モード

48〜52dB

112.75秒

標準モード

56〜62dB

116.53秒

あれ?(^^;

CD回転数制限 静音モードと標準モード

あきらかに静音モードでは耳障り感は軽減しているんですが、時間は逆に早いことに。
音楽CDでも試しましたが、ドライブに入れて認識されるまでのマウント時間もほぼ一緒でしたし、いまいち標準モードの存在意義がわからなかったりして...

もっとデジカメのJPEGファイルのような細かいファイルがたくさんあると違ってくるんでしょうか。

 

ao.gif ACアダプタ

特に記載事項なし。こんなものでしょう。熱くなりますが、握りしめることは十分可能な程度。形はケーブルを巻くギミックなどは何もない、真四角なアダプターです。

ACアダプター

 

ao.gif カードリーダー性能

SDカードの立ち上げ企業でもある東芝。まぁ、それとノートのメモリーカードリーダーへの力の入れ具合とは直接リンクしないでしょうが、へなちょこなカードリーダー性能は避けて欲しいところです。

で、FDBENCHで実験してみました。
使用したメモリーカードは他のリーダーでも好成績を残しているDONYAフラッシュです。

内蔵リーダー性能

おー、結構いけますね。ちなみに200MBのファイル書き込みが23.92秒、読み込みが21.48秒でした。
トップクラスの単品リーダーには及びませんが、リードで約10MB/sは合格点といえそうです。
 → フラッシュメモリー&カードリーダー性能表

 

ao.gif リカバリ作業

HDDリカバリー、もしくは事前に作ったリカバリーDVDから復旧可能です。リカバリーDVDは専用ソフトで作成し、DVD-R1枚あればOKです。15分くらいでできあがります。CD-Rだった昔と違ってだいぶ楽です。

リカバリーモードへの入り方はオンラインマニュアルに詳しく載っていますが、数字キーの0を押しながら電源ボタンを押し、東芝ロゴが出たら離すと、HDDリカバリーモードに入ります。F12を押しながらだと、DVDからのリカバリーに。

 リカバリーモード Windows画面が出ず、この画面が出てくる。 

リカバリー選択画面

下の「全データの消去」を選ぶと、フォーマットしてそれで終わってしまうので気をつけてください。

 

ao.gif 各種ベンチマーク

なかなかスペック通りにスコアが出ないことも多いのですが、AW6に関してはGeForce Go 7600らしい値がしっかり出ていますね。良好です。

3DMark05

 

3DMark05

3346

3DMark03

 

3DMark03

8023

FF11 v3

 

FF11 v3 高解像度

5367

 

ao.gif ゲーム動作レビュー

さぁ、最後に核心です。取り上げるタイトルは蹴茶のめり込み中の最新ゲーム「ファンタシースターユニバース」。ログインできなかったり、ゲームバランスがPSO BBより悪いなどなど色々と話題の尽きないタイトルですが、描画自体もそこそこ重い。一件は百聞にしかず。今回はプレイムービーを用意してみました。

※ 画像をクリックすると、プレイ動画が見られます ※

統合チップセット代表
Inspiron 710m
(Intel 855GME)

 

ミドルレンジ代表
dynabook AW6
(GeForce Go 7600 128bit)

 

ハイエンドレンジ代表
Inspiron 9400
(GeForce Go 7800)

 

 

ゲームにならない遅さですが
スロー再生ではないですよ(w

 

かなり軽快です

 

こちらも当然ながら軽快

映像を見ると一目瞭然ですが、dynabook AW6 と Inspiron 9400は軽快そのもの。
統合チップセットとの性能差が明快に出ています。

高画質モードではdynabook AW6、Inspiron 9400共にもたつきがありました。Inspiron 9400ユーザーの蹴茶としては高解像度でも軽快に動いて欲しかったですが、残念。

低解像度にするとInspiron 710mも若干動きが良くなりますが、ゲームにならないのは変わらずでした。ただ統合チップセットが全てこう!と言い切るには搭載チップセットが旧世代のIntel 855GMEなので、ハンデがありすぎます(^^; またIntel 915世代以降のノートを探して、同様のテストをやってみる予定です。

大航海時代オンラインなどはPSUより軽いため、想像ですがほぼ問題なく動くと思います。時間があれば、確認とってみます(※注)。FF11はアカウント無いので、テスト予定はなしです。

※ お借りする期間を過ぎてしまったため、大航海時代はテストプレイができませんでした。

 

ao.gif まとめ

point4.gif 非光沢と音を許容できるかどうか

何日か触って感じたのは、「噛めば噛むほど味の出るノートだなぁ」と。光沢液晶でもない、デジタルチューナーもない、天板の色遣い以外は派手さは皆無といっていいモデルですが、細かいところにお金と手間をかけています。

音量ハードウェアスイッチ、蓋付きのカードスロット、HDDのゴムカバー、光学ドライブの低速回転ユーティリティなどなど。どれも無くても致命的な問題にはならないゆえに、コスト削減で犠牲になりやすいギミックたちですが、こういった「あると使いやすい」ポイントを押さえているのが最大の特徴です。

マイナスはやはり液晶。非光沢は非光沢の良さがあるのですが、色味にキレのある光沢液晶がいいという人はそもそも選択肢に入らないと思います。あとはキーの固さ。Qosmio Gシリーズの方がまだ柔らかい気がします。これも日常的に使うモノなので、柔らかいキーが好きという人はネックでしょう。またファン音は静かな環境ではそれなりに音量が目立つので、絶対静音主義の方はご注意を...蹴茶か

◆ 評価ランクの指標 ver.1

旧採点法

評価 5 小さな不満が1〜2 名機レベル

90-100点

評価 4 小さな不満が3〜4 並みより上

80-89点

評価 3 大きな不満が1 まぁこんなもの

70-79点

評価 2 大きな不満が2〜3 失敗した買い物

60-69点

評価 1 不満だらけ 近日中に処分予定

30-59点

評価 0 商品以下 トラブル掲示板に報告有

0-29点

「価格を考えれば納得」といったコストパフォーマンスの良さが
認められる場合は通常の評価から1ランク程度アップさせます

→ ユーザーレポート
→ dynabook AW6 光沢バージョンレビュー
⇒ dynabook AW6

直販サイトでは頻繁に割引クーポンを発行しているので、必ずクーポンのあるときを狙ってください。

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