リビングPCを作る vol.1
組み立てと消費電力篇 2008年3月
目的 iTunesが使えて、HDMI経由でテレビと繋がる静音サーバーの構築
DVDやCDなどどんどん増えていくディスク類。メーカーはBlu-rayなど画質面の強化には熱心ですが、その利便性という点においては遅々として進化が進みません。ディスクと著作権に捕らわれているのか、積極的なのはDLNA対応のPS3やロケフリを展開するソニーぐらいです。
「あのときの写真が見たい」
「あの曲が聞きたい!」
「銭型のとっつぁんのあのセリフが今すぐ見たい!」
と思っても、検索性の悪いアナログの写真アルバムはもとより、DVDなどもディスク探索→ローディング→イントロ画面→メニュー画面‥と煩わしさはそう変わりません。そこで家庭内のコンテンツを一気に引き受けるメディアサーバーの構築を試みることにします。
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利用目的は‥ |
スペックと費用
自作PCのスペック、実際かかった費用はざっと以下のとおり。HDD容量は1.5TBです。総額 9万円と安くはないですが、同じWindowsHomeServerを使ったマウスコンピューター製では、HDD 1TB搭載で16万円超なので自作することでだいぶ安く上がったことになります。
CPU |
Athlon64 X2 BE-2350 |
\10,080 |
マザーボード |
BIOSTAR TF7050-M2 |
\8,680 |
メモリー |
ADATA PC2-5300 2GB x 1 |
\4,179 |
HDD |
WD5000AACS x 2 |
\21,360 |
ディスプレイ |
REGZA Z4200 |
- |
光学ドライブ |
LITEON DH-20A3S SATA |
\3,950 |
電源 |
CORE POWER2 CoRE-400-2007 |
\3,811 |
ケース |
STAJA Rhapsody SH BM/250II |
\9,450 |
OS |
Windows Home Server |
\23,991 |
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諸経費(送料・ケーブル代など) |
\5,213 |
合計 |
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\90,714 |
最近は円高と一部メーカーの決算特価特化でパーツ価格がさらに下落しているため、8万円くらいで作れるかもしれません。 → 8000円割れ”の500GバイトHDDに「下げすぎじゃない?」の声
選考課程を書いてみる
重視した順に書いてみます。
マザーボード
今回のプランはHDMIと省電力性を重視。そこでGPUとサウスブリッジ機能も統合したそのためワンチップ構成の「GeForce 7050 PV」を搭載、HDMI端子を標準でもつマザーボードを選択。
→ 多和田新也 NVIDIAの統合型チップセット「GeForce 7050 PV」
昨年末には大手ASUSからも同チップセットのマザーが出たのですが、ブランドよりも成熟度を重視してBIOSTAR「TF7050-M2」を選びました。マザーボードはBIOSの枯れ具合がモノを言うケースが多いので、登場から日数が経っているというのは結構重要だと思います。
CPU
マザーが決まったので、自動的にこちらも決定です。選んだのはネットでの報告例も多い省電力モデルの「Athlon64 X2 BE-2350」。45nmプロセスで作られた「Penryn」も考えましたが、ローエンドモデルの販売が夏に先送りになったので今回は除外です。
hiyohiyo氏のCrystalCPUIDを使えば負荷に応じた電圧とクロック設定が可能ですし、何より1万円とPenrynに較べて安いのが最大の魅力です。
→ 45ワット版のデュアルコアAthlon「BE-2350」を試す
HDD
次に重視したのが静粛性と消費電力に占める割合が大きいHDD。選んだのはWesternDigital(WD)の「Caviar GP(AACS) 500GB」。これは色々話題に事欠かないモデルで、WD曰く
『5,400rpm〜7,200rpmでディスク回転速度を調整し、消費電力削減』
という画期的なモデルなのですが、実際は可変というよりも5400rpmでほぼ固定、かつスピンを頻繁に止めることで省エネっぽく見せているんじゃないか?と言われています。
使ってみるとかなり確かに引っかかりを感じますが、今回のような保管庫的な用途だと体感速度は重要ではないので、むしろ5400rpmで固定している方が発熱的にもありがたいです。頻繁にスピンを止めることによる寿命への影響は気になりますが、こればっかりは使ってみないとわからないですね。現在は、1TBのEACSが出ています。
電源
これも悩ましいパーツです。静粛性、消費電力の面での理想はACアダプタ。しかし、ACアダプタにすると価格が跳ね上がってしまいます。結局、大口径ファンで比較的省スペースのATX電源 サイズ「CORE POWER2」を選びました。ただ、のちの配線作業で苦労しプラグイン式を選ぶべきだったと若干後悔した選択です。
ケース
最初はオウルテック「OWL-PCCHS」を有力視してました。HDDが4台内蔵でき、かつ7cmファンを2基、標準でACアダプタという静粛性にも配慮された設計は非常に魅力的です。高さがあるのでテレビ台には入りませんが、この小ささならTVの後ろの隙間にでも置くことができそうです。
※ マウスコンピューターからこのケースを採用したモデルが出ています
直営店で聞いたところ、HDMI端子は物理的には付いているものの非サポートらしいです
ただこのケース自体が5万円前後と高い上に、HDMI仕様のMini-ITXマザーとなるとAlbatron「KI690-AM2」ぐらいしかなく、このマザーも2万円台後半と高い。やむなく断念し、妥協点として選んだのがソルダムの「STAJA Rhapsody」の前面ブラックタイプ。見た目がごてごてしてないですし、直販で年中セールをやっているので1万円前後で入手可能です。
OS
これも悩みどころでしたが、次期バージョンの日本語版が発売間近となり特売になった「Windows Home Server(英語)」がHDD WD5000AACSとのセットと特価(2万4000円)になっていたため、さっくり買ってしまいました。これで条件のひとつであった、「リモートデスクトップ」が使えます。
リモートで操作するならVNC系のShowMyPCなども簡単ですが、操作レスポンスが悪いのがネックです。リモートデスクトップはクライアント側で描画するためレスポンスに優れています。またDirectXでこの描画を行う一撃さんのIgScopeなども良さげです。
※ サーバー機能はXP ProfessionalやVista Business以上が必要です
HDD価格を考えれば1万4000円でWHSが買えたことになりますが、自作界ではHomeServerの存在はあって無いようなものなので、対応ドライバで苦労することになります。
光学ドライブ
これはある意味なんでもいいパーツです。消費電力を減らすなら内蔵せず、使うたびにUSB接続するぐらいがいいのですが、価格と外置き時の埃が嫌で内蔵にしました。
選定ではDVDやCDの認識が早いことを重視。CD-R実験室にてマウント時間を比較し、ソニーオプティアーク「AD-7203A」に着目したのですが、これのSATA版が検討時には店頭になく(後日登場)、また7203A自体も書き込み品質に難ありとの評価でしたので断念。
結局、マウント時間としては‘やや早い’程度(PATA版を参考に)ですが、基盤が小さく電力消費が少なそうで安かったLITEON「DH-20A3S」にしました。送料、書き込みソフトnero込みの正式パッケで3950円!
メモリ
これもさして選ぶ理由はありません。ただメモリ不良は原因不明のトラブルを招きやすいので、ノーブランド品ではなくブランド品を購入。また電力消費の観点から、モジュールは1枚にしました。デュアルチャネルになりませんが、実感できる差にはならないでこれでOKです。