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ディラッドスクリーンを調べてみた (DILAD Screen)
初音ミクのコンサートで使われているディラッド(DILAD)ボード。プロジェクターで後ろから投影された光を映し出す透明なボードです。
製造元と思われる“きもと (KIMOATO)”のホームページを見てみると、DILADボードの情報は少ないですが、貼って使うDILADスクリーンの詳細な情報が掲載されてます。
真横からでも見られるという「T90SK」や「GSK」は高拡散の代償として透明ではなく、背景が見えません。感謝祭やMIKUNOPOLISでは透明度の高い「T40Si」に近いスクリーンが使われたのではないかと思われます。
→ DILAD スクリーン(ディラッドスクリーン)
→ Rear Projection Film / DILAD Screen
透明かつ、広視野角!が理想ですが、カタログを読むと
プロジェクター映像の見え具合(拡散性)とスクリーン越し背景の見え具合(透明性)は相反します
とあり、視野角と透明性が両立しないことが書かれています。
透明であることを求める限り、視野角問題は解決しにくいことになります。
例の“御社”さんがDILADスクリーンのようなものをつかっています(音注意)
■ 視野角を調べてみた
DILADボードの情報が無いので、代わりにDILADスクリーンを見ていきます。
(スペックが違うので、同じではないですが似た傾向を持つはずです)
海外向けカタログに、DILADスクリーンの視野角と明るさのグラフが載ってます。
グラフは縦が光の強さ。横が水平方向の視野角になります。(DILAD Screen Catalogue)
正面( Horizontal viewing angle 0 )から見ると一番明るくハッキリと見えますが、角度が付くにつれて明るさはどんどん減衰。60度の角度では正面から見た明るさの1,2割の明るさしかありません。
■ 絵にしてみた
座席は中央ではなく、左側で想定。
ボカロ中央の時。完全に消えてしまうケースは少ない。
ボカロ左寄の時。
左の座席ではハッキリ。右の座席では消失。写真ではリン(左)が該当。
ボカロ右寄の時。
左の座席では消失。右の座席ではハッキリ。写真ではレン(右)が該当。
写真では右のレン消失だけでなく、左のリンがハレーション(白飛び)気味なのも問題と言えます(カメラより見えるレンジの広い肉眼だと違うかもしれません)。
さらに別の問題として、明るい照明が視野に入った時も見えにくくなります。
人間の目はかなり優秀なのでわずかな光でも“見えます”が、視野に明るい照明が入るとそっちの明るさに目をあわせるので、薄い像が見えにくくなります。
これはカメラの絵ですが、だいたいこんな感じ。
■ 門外漢ながら解決策を考えてみた
1.そもそも端に客を入れず、中央に集める
根も葉もない解決法です。MIKUNOPOLISで実施済み。
デメリットは入場者数が減ること。
2.端にもプロジェクターを置き、複数台で重ね合わせる
複数台で協調して投影する技術は既に実用化されてます。
感謝祭やミクノポリスでも縦に2台積んでいます(スタック)。これを横にも応用します。
→ エプソン / パナソニック / クロイツ
しかし動きが速い、高解像度、投影距離も長い、というケースで使えるかどうか。
少しでもずれるとゴーストみたいな絵になってしまいます。
可能ならあとはコストの話に落とし込めるのですが。
3.スクリーンの改良
製造元のKIMOTO次第ですが、透過性と視野角は相反するので無理?
私が思いつくような案はとうに検討済みだと思いますが、ミクパの箱スクリーンに戻すのが非常に難しいだけに、透過スクリーンの視野角克服が待たれるところです。
関連
→ 蹴茶: 初音ミク海外初公演 MIKUNOPOLIS 無事終了 [リンク集] [7.3]
→ 蹴茶: MIKUNOPOLIS ミクノポリス Q&Aもどき [7.4]
→ 蹴茶: 初音ミク LA公演、Nokiaシアター7100人を3500人に絞った理由
→ 複数プロジェクタの重ね合せ投影のための画像計算について
追記:関連
→ 蹴茶: ミクの日大感謝祭、豪華ゲスト決定+視野角が若干広がるかも [2012.2.29]
追記2
→ 蹴茶: ディラッドボードにまつわる新事実が明らかに? [2014.5.26]